タイ北部一帯にはタイ人とは異なる出自と文化的背景を持つ、山岳民族と呼ばれる人々が住んでいます。タイの人口約6300万人に対し、山岳民族は10民族93万人、本来は名前のとおり山間部に居住し、周辺の山から食料を調達し、焼き畑農業を行い、自給自足的な生活を続けてきましたが最近では現金収入も必要になり、伝統的なライフスタイルは大きく変化してきています。それにともない経済格差も広がり、貧困、国籍問題、伝統文化の継承など、さまざまな社会問題を抱えています。

▶ 起源:中国
色鮮やかな刺繍や、ろうけつ染めを得意とします。刺繍は母から子へと受け継がれ、その技術の高さで家柄を判断されるため、10歳頃には立派な技術を身につけます。お正月には一年がかりで作った民族衣装に身を包み、「ジュポー」と呼ばれる若い男女の出会いの場となる鞠投げや、さまざまな儀礼が行われます。

▶ 起源:中国
クロスステッチによる刺繍が得意で、赤い毛糸で作る襟飾りや、藍染めのターバンなどの民族衣装は、高度な技術と芸術性を備えています。ズボン一本に一年以上かけることもある緻密で豪華な刺繍は、女性たちのステータスとなります。漢族文化の影響が強く、婚礼や葬式などの儀礼では漢字で書かれた文書を用いるのも特徴的です。

▶ 起源:ミャンマー東部
タイ山岳民族最大の人口をもち、「原始織り」という自らの腰に紐をかけ身体を使って織る手法のはた織りを得意とします。未婚女性は純白に赤いラインの入ったワンピース、既婚後はカラフルなツーピースに衣装を着替えます。ゾウ使いの名手でもあり、今なお高床式の住居など、伝統的な暮らしが営まれています。

▶ 起源:東チベット
襟や袖にカラフルな布を幾重にも重ねた民族衣装など、優れた色彩感覚を持ちます。細かな手縫いで作られた紐の先に、ポンポンをつけたシッポのようなものを、お正月などの祭事で身につけます。言語の3割程が中国語の流用で、旧暦の正月を祝ったり、箸で食事をするなど、ヤオ族同様に漢族文化の影響が色濃くあります。

資料提供:服部一人